謎めいた女にスカウトされ、敵討ち執行代理人となった叶ヒロシ。表情ひとつ変えずに引き金を引き、淡々と任務をこなしていく彼の前に、15年前の幻が現れる。極秘の兵器実験。封印された感情。それらはヒロシを運命の決闘へと導いていく――。 カルト的な人気を誇る松本次郎の『フリージア』(月刊「IKKI」連載中)を、『鬼畜大宴会』『アンテナ』の熊切和嘉が大胆に脚色。なまぬるい空気に潜む、凶暴なエッセンス≠ナ読者を魅了した原作の世界観を背景に、命のやりとりこそが絆となる戦いのドラマ≠、リアルを徹底的に追求したガンアクションとスタイリッシュかつ情緒的なビジュアルで映画化した。

感情も感覚も失った主人公ヒロシが歪んだ日本を生き抜く姿は、やがてまったく新しいヒーローの誕生として、観る者のアドレナリンを沸騰させる。

舞台は、生ぬるい狂気が充満する
近未来社会。
普通の人々が壮絶な銃撃戦を繰り広げる
新・ガンアクション誕生。

『フリージア』の舞台は、言いようのない喪失感を抱えた現代と近似値の近未来社会。そこは、犯罪被害者が加害者を処刑することができる「敵討ち法」が存在する世界。被害者=依頼人は「執行代理人」に処刑を依頼し、加害者=対象者は「警護人」を雇うことができる。決められた区域内で同等の武器、同数の銃弾、同人数で戦うというルールのもと、殺し合いが白昼堂々と行われるのだ。ヤクザでも警察でもない、普通の人々が壮絶なガンファイトを繰り広げる――明日の日本はこうかもしれないというパラレルワールドである。

原作どおりの、
あるいは意外なキャスティング、など。
若き鬼才・熊切和嘉のもとに集まった個性が、比類なき化学反応を起こす。

主人公のヒロシを演じるのは『逆境ナイン』、『手紙』、『NANA』シリーズなど俳優として快進撃を続ける玉山鉄二。人間的な感情を失い、機械のように任務を果たす敵討ち執行人という今までのイメージを覆す役どころに挑戦し、新境地を見せつけている。ヒロシの宿命の仇役・トシオに、確かな演技力と存在感で多くの監督から絶大な信頼を得る西島秀俊。ふたりを逃れられない運命の輪へと招きよせるヒロイン・ヒグチに、数々の映画で神秘的な魅力を放っているつぐみ。そのほか、ヒロシのキレまくる上司役に三浦誠己、きまじめな同僚役に柄本佑が扮するなど、個性豊かな若手がスクリーンを駆け巡る。

時にハードコア、時に叙情的に展開する脚本を手がけたのは、熊切と長年タッグを組んでいる盟友、宇治田隆史。同じく熊切作品には欠かせない音楽集団・赤犬が、胸騒ぎのする劇中音楽を制作。エンディングテーマにはChara。その甘くソウルフルな歌声が、映画にやさしい光をもたらしている。